2025.06.16
セキュリティシステム導入の極意|総合防犯設備士が教える!

「まさか、うちが狙われるなんて――」「セキュリティシステムなんて必要?――」
そう語るのは、都内で工場を営むある経営者。実際、近年は中小企業を狙った侵入犯罪が後を絶ちません。理由は明白です。「警備が手薄」「防犯意識が低い」「夜間は無人」——まさに“狙いやすい”からです。
では、どうすればその標的から外れることができるのでしょうか?
答えは、**「狙わせない防犯」**にあります。
※本記事は、総合防犯設備士による専門的な視点で執筆されています。総合防犯設備士とは、防犯設備の選定・設計・施工を総合的に行える、日本防犯設備協会認定の防犯のプロフェッショナルです。防犯機器の性能だけでなく、犯罪者心理や現場環境を踏まえた“本当に効果のある防犯”を提案できます。
単なるカメラの設置ではなく、“侵入者を防ぐ”ための本質的なセキュリティとは何か——その極意をお伝えします。
なぜ今、セキュリティシステムが必要なのか?
中小企業が狙われる時代
かつては大企業や金融機関が狙われる傾向にありました。しかし現在、侵入犯罪のターゲットは**「防犯対策が甘い中小企業」**へとシフトしています。
特に、以下のような特徴を持つ企業は要注意です:
- 夜間・休日に無人になる工場や倉庫
- 外部から見てセキュリティ機器が見当たらない建物
- 防犯カメラのみで威嚇装置がない施設
こうした「隙」は犯罪者にとって格好のターゲットです。実際に、私が関わったある中小製造業でも、センサーも威嚇機器もなく、深夜に資材の盗難被害に遭いました。
防犯カメラだけでは「防げない」理由
多くの企業で導入されているのが防犯カメラです。しかし、それだけでは「記録」はできても、「侵入」は止められません。
ここで大切なのは、泥棒の心理を読むことです。彼らは「音も光もなく、時間をかけても誰にも気づかれない場所」しか狙いません。逆に言えば、「人に見られている」「即座に通報されるかもしれない」と感じれば、たとえ侵入前でも犯行をあきらめます。
つまり、防犯の本質は**「狙わせない仕組み」をつくることにあります。
カメラで記録するだけでなく、「この会社は厳重で、簡単には入れない」と一目で思わせる環境**こそが、最強のセキュリティです。
犯罪者心理を突く“抑止力”の重要性
防犯の目的は、侵入されてから対応するのではなく、最初から侵入させないことです。ここで重要になるのが**「抑止力」**です。
犯罪者は常に「リスク」と「リターン」を天秤にかけています。
- 音が鳴る
- 光が点く
- 音声で警告される
- オーナー(社長)に即時通報される仕組みがある
こうした仕組みが「目に見える形で存在している」と、犯罪者は**「ここはやめておこう」と感じます。つまり、防犯の成功とは“侵入される前に諦めさせる”こと**なのです。
セキュリティシステム導入のステップ
現地調査で見える“死角”
まず最初に行うべきは、現地調査です。
建物の構造、敷地の広さ、周囲の環境、出入り口の数、照明の有無——これらを総合的に見て、どこに“死角”があるかを洗い出します。
例えば、「正面は目立つけど裏手のフェンスが低い」「照明が届かない物置周辺が暗い」など、侵入者が“好む場所”は必ず存在します。防犯のプロは、こうしたリスク箇所を的確に見抜きます。
竹中エンジニアリング製センサーの強み
死角が判明したら、次は感知と威嚇の設計です。
ここで活躍するのが、信頼性に定評のある竹中エンジニアリング製の各種センサーです。
- 赤外線センサー(赤外線で人の動きを検知)
- パッシブセンサー(人の体温や動きを検知)
- マグネットセンサー(ドアや窓の開閉を検知)
これらなどのセンサーは高感度かつ誤報が少なく、セキュリティキーパーなどの威嚇機器と連動させることで、侵入を未然に防ぐ仕組みが構築できます。
不審者を感知した瞬間、光・音・音声による威嚇と同時に、オーナーのスマートフォンへの通報が可能です。
防犯のプロが作る「攻めの防犯設計」
最後に重要なのは、機器の選定と配置を“泥棒目線”で設計することです。
防犯のプロは、ただ機器を並べるのではなく、「ここまで対策している会社には入れない」と感じさせる**“攻めの防犯”**を設計します。
建物全体を覆うように、センサーと威嚇機器を配置し、見せることで侵入意欲をくじく。それが、真に効果的なセキュリティシステムの姿です。
導入事例で見る、効果と安心
工場・倉庫への侵入ゼロ達成事例
関西地方のある部品製造会社では、夜間の無人時間帯に複数回の侵入未遂が発生していました。被害は小規模でしたが、「次はもっと大きな被害になるのでは」と経営者は強い危機感を持たれていました。
そこで、敷地全体にパッシブ赤外線センサーとマグネットセンサーを配置し、セキュリティキーパーによる威嚇装置と連動させるシステムを導入。さらに、社長のスマートフォンに即時通報が届く仕組みを組み合わせました。
その結果、システム稼働以降は侵入未遂すら一切発生していません。現場には「見せる防犯」が構築され、泥棒に「入りづらい」ではなく「絶対に入りたくない」と思わせる環境が完成しました。
経営者の「見える安心」が従業員の意識を変える
ある印刷会社では、日中の防犯対策を強化したことで従業員の行動や意識にも変化が現れました。
導入後、社員からは「社長が会社を本気で守ろうとしているのが伝わる」「安心して働ける」という声があがり、現場での声掛けや施錠確認といった防犯意識が自然に高まりました。
防犯システムは「機械が守る」のではなく、経営者の姿勢が伝わることで、職場全体が安全になる仕組みでもあるのです。
まとめ|経営者の判断で会社の未来を守る
防犯対策は「何かあってから考えるもの」ではありません。
被害が起きてからでは、金銭的損失だけでなく、信用、社員の安心感、そして経営者としての自信すらも失いかねません。
今は、中小企業が最も狙われやすい時代です。
だからこそ、「狙わせない」防犯が重要です。
- 泥棒心理を突く「抑止力」
- 現地調査に基づく緻密な設計
- パッシブセンサーや赤外線センサーやマグネットセンサーを活用した感知力
- セキュリティキーパーによる強力な威嚇
- そして、何より「防犯に本気な経営者の姿勢」
これらすべてが揃って、会社を守るセキュリティシステムが完成します。
防犯は経費ではなく、「経営の責任」です。
あなたの決断が、会社の未来を守ります。