2025.06.20
防犯センサーに迷ったら?赤外線センサーのメリット・デメリット

「防犯センサーを導入したいけれど、何を選べばいいかわからない。」
そんなお悩みを抱えている中小企業の経営者様は少なくありません。
中でも多くの現場で採用されているのが赤外線センサーです。
ビームが人や車両によって遮られたことを検知します。防犯対策の“目”として非常に有効です。
ただし、赤外線センサー単体では警報音やフラッシュライトは発しません。
実際に音や光で侵入者を威嚇・通知するには、鳴動機器(例:セキュリティキーパー)との連動が必要です。
本記事では、防犯のプロである総合防犯設備士の視点から、赤外線センサーの仕組み・メリット・デメリット、他センサーとの違いまでをやさしく解説。
「どのセンサーを選べばよいか」でお悩みの方が、“狙わせない会社づくり”の第一歩を踏み出せるようサポートします。
第1章:赤外線防犯センサーとは?仕組みと基本機能
赤外線防犯センサーと一口に言っても、タイプや用途はさまざまです。ここで紹介するのは、竹中エンジニアリング製の赤外線ビーム式センサー。これは、工場や倉庫、資材置場、駐車場といった屋外施設の敷地境界線を「目に見えないバリア」で守るためのセンサーです。
赤外線ビーム式の仕組み
ビーム式センサーは、「送信機」と「受信機」をペアで設置します。その間に複数の赤外線ビームを飛ばします。
このビームが人や車両によって遮られた瞬間、異常として検知信号を出力します。
たとえば竹中エンジニアリングのPXB-100HFAは、4段のビームを使うことで「小動物による誤報」などを防止します。最大100mまでの広範囲を正確に警戒することができます。
赤外線センサーの役割は「検知」 鳴動機器との連動が必須
赤外線センサー単体では音や光を出しません。(一部一体型の商品もあります。)
センサーはあくまでも「検知」を担当する機器です。警報音やフラッシュで侵入者を威嚇するには、別途鳴動機器との接続が必要です。
たとえば「セキュリティキーパー」や「フラッシュライト付きサイレン」と組み合わせます。侵入者に「ここは防犯対策されている」と強烈にアピールできます。
**侵入そのものを思いとどまらせる“心理的抑止効果”**を発揮します。
※動画はPXB-100HFAではありません。
第2章:赤外線センサーのメリット
赤外線センサーは、他の防犯機器では難しい「侵入前の検知」や「広範囲・外周の警戒」に優れています。
竹中エンジニアリング製品を例に、その主なメリットをわかりやすく解説します。
1. 敷地に「見えない境界線」をつくれる
たとえば、資材置場や駐車場、工場の裏門など「フェンスや壁のない場所」は、特に侵入リスクが高まります。
赤外線センサーを設置することで、目に見えない境界線をつくります。不審者が入る前に検知することが可能になります。
2. 誤報を減らす高精度設計
竹中エンジニアリングのビームセンサー(例:PXB-100HFA)は、4段ビーム構造+ワイドピッチ設計です。小動物や落ち葉による誤報を抑えます。
さらに、太陽光や車のヘッドライトなどの「外乱光」に強い二重変調方式を採用しております。日中でも安定した検知が可能です。
3. 悪天候にも強く、安定した屋外運用が可能
霧・雪・豪雨といった悪天候では、誤動作や検知漏れが心配されます。しかし竹中エンジニアリングのビーム式センサーはハイパワービーム+自動ゲイン調整により、厳しい気象条件下でも安定して動作します。
特に敷地外周の防犯においては、**「誤報がない=信頼できる」**という評価が非常に重要です。
4. 鳴動機器との連動で、侵入者を“即時威嚇”
赤外線センサーでの検知と同時に、セキュリティキーパーやフラッシュ付きサイレンが鳴動すれば、侵入者に強烈な心理的プレッシャーを与えることができます。
これにより、「警戒されている」と感じさせます。泥棒に侵入そのものを断念させる抑止力を発揮します。
第3章:赤外線センサーのデメリットと注意点
赤外線ビーム式センサーは非常に優れた防犯機器ですが、導入にあたってはいくつかの注意点や誤解しやすいポイントも存在します。ここでは、実際の運用現場で見落とされがちな点を整理します。
1. センサーは「音を出さない」ことを理解する
最大の誤解は、センサーが警報音を鳴らすと思い込んでいるケースです。
実際には、赤外線センサーは侵入の兆候を検知する“目”の役割であり、鳴動やフラッシュで威嚇する“声”や“光”の部分は別機器(例:セキュリティキーパーやフラッシュサイレン)と連動させる必要があります。
🔧導入時には、「検知」と「威嚇」の役割分担を明確にし、両者をセットで導入することが鉄則です。
2. 光軸のズレや汚れによる誤検知・未検知リスク
ビーム式センサーは、送信機と受信機の光軸が正確に合っていることが大前提です。
しかし、設置から時間が経つと以下のようなリスクが生じます:
- 地盤沈下や強風などで光軸がずれる
- 雨・雪・虫・落ち葉などでレンズが汚れる
- 鳥の糞や蜘蛛の巣が受光部をふさぐ
これらが原因で、誤検知や検知漏れが発生することがあります。
🧹対策として、**定期的な点検・清掃と、ゲインロック機能(電子音による光量チェック)**の活用を推奨します。
3. 設置環境によっては効果が落ちることも
ビームが通るルートに、雑草・建築資材・雪の吹き溜まりなどの障害物があると、検知精度が下がります。また、以下のような設置ミスも避けなければなりません:
- 太陽光が真横から差し込む場所
- フェンスやネットの目にビームが干渉するケース
- 送受信機の間に風で揺れる物がある(旗、ビニールなど)
📍設置前には、現場環境をよく観察し、安定的な警戒ラインが維持できる位置に設置することが重要です。
第4章:設置場所別!赤外線センサーのおすすめ活用法
赤外線ビーム式センサーは、建物の“内”ではなく“外”を守るための防犯機器です。特に敷地境界や屋外の死角をカバーするのに適しています。ここでは、実際の導入現場で多い設置ポイントを具体的にご紹介します。
1. 駐車場・資材置場の外周
屋外に開けたスペースは、柵やフェンスがあっても侵入しやすく、夜間は特に狙われやすい場所です。
赤外線ビーム式センサーを外周に設置すれば、車両の侵入や人の立ち入りを“敷地に入った時点”で検知でき、不審者の行動を封じます。
📌ポイント:敷地が広い場合は、100m対応の機種を選び、コーナー部分に注意してビームが死角をカバーするように配置します。
2. 裏門・搬入口・非常口などの見えにくい出入口
建物の正面は人の目も多く対策されていても、裏手や搬入口は無防備になりやすい箇所です。
ビームセンサーを配置することで、人が敷地内に入った瞬間に異常を検知し、威嚇することが可能になります。
📌ポイント:1.5~2mの高さに設置し、車両にも人にも反応できるよう設定するのが効果的です。
3. 建物とフェンスの間や建物裏などの“死角”エリア
建物とフェンスの間や倉庫の裏手は、目が届きにくく、空き巣や盗難犯にとって狙いやすい場所です。
赤外線センサーを設置すれば、普段目が届かないゾーンにも「目」を持たせることができるため、リスクを一気に下げられます。
📌ポイント:1台の送信機・受信機で複数の死角をカバーできるよう、斜め設置や反射型の併用も検討しましょう。
4. 赤外線ビーム式センサーを軸にした最適な防犯構成
防犯の本質は、「侵入される前に気づくこと」です。
その点で、赤外線ビーム式センサーは“防犯の要”となる最前線のセンサーです。敷地境界や死角に目に見えないバリアを張り巡らせ、不審者が“入ってきた瞬間”を確実に検知します。
しかし、防犯はセンサー1つで完成するものではありません。
赤外線ビーム式センサーを軸に、以下のようなセンサーを組み合わせることで、侵入経路すべてを多層的に守る構成が理想です。
- 敷地外周(第一ライン)→ 赤外線ビーム式センサー
- 建物の入口(第二ライン)→ シャッターセンサー/マグネットセンサー
- 屋内の警戒(第三ライン)→ パッシブセンサー
このように“外・入口・中”を段階的に守ることで、万が一第一ラインを突破されても次で食い止める、いわば三段構えの防犯体制が構築されます。
🔐 最も重要なのは、「赤外線ビーム式センサーで侵入させないこと」。その上で、他のセンサーが「侵入後の補完役」として働くことで、被害を未然に防げるのです。
第5章:まとめ|赤外線防犯センサーで“狙わせない会社”を作るには
防犯は「何かあってから動く」のでは遅すぎます。
今、犯罪はますます巧妙化し、カメラやセンサーがあることを前提に行動する侵入者も珍しくありません。
だからこそ、「侵入させない」「狙わせない」防犯が求められています。
その第一歩として最も有効なのが、赤外線センサーの導入です。
- 敷地境界での早期検知
- 誤報を抑える高精度設計
- 鳴動機器と連動した威嚇
- 他センサーとの連携による多層防衛
これらを組み合わせることで、あなたの会社は**“ただ守られる場所”ではなく、“狙われにくい場所”**になります。
特に、竹中エンジニアリング製の赤外線センサーは、国内外での豊富な導入実績と信頼性があり、中小企業でも本格的な防犯体制を構築できる優れた選択肢です。
🏢 あなたの会社に「赤外線の目」を。
📞 セキュリティキーパーとの連動や現地調査など、導入相談はお気軽にご相談ください。
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