防犯ブログ
- 侵入手口
2006年06月30日
大規模強盗団の犯行だったカリスマ美容外科長女誘拐事件
東京都渋谷区で美容外科医池田優子さん(47)の長女で明治学院大4年果菜子さん(21)が誘拐された事件の犯人は、船橋市や静岡県国市の現金輸送車強盗事件や静岡県パチンコ店強盗などにも関与している大規模強盗団のメンバーであった疑いが強いことが判明しました。強盗団は20人前後が離合集散を繰り返し、千葉、埼玉、栃木、静岡県などで10件前後の強盗を重ねていたとみられています。
犯人たちの手口は、拳銃や刃物を使い、非常に荒っぽいもの。
今回の誘拐にも、拳銃に消音器、包丁2本を持参し、入念に 「武装化」していました。
又、自分たちで用意した携帯電話2台と果菜子さんの携帯電話を組み合わせて、優子さんに電話をかけることで、車で果菜子さんと行動を共にしているかのように装っていた可能性が高いようです。
日本人、韓国人、中国人と国籍も経歴も違う犯人の3人はこの誘拐事件において、それぞれの得意分野を活かして役割分担がされていました。
警察の調べによると、伊藤容疑者は李、崔両容疑者とそれぞれ数年前から顔見知りで、李、崔両容疑者は誘拐事件まで面識はなかったということです。事件当日に伊藤容疑者に引き合わされるまで会ったこともなかったため、互いに名前も知らないまま。逮捕されてからも、李容疑者は「伊藤容疑者と、もう一人の40過ぎの名前を知らない男と3人でやった」と供述。崔容疑者も李容疑者を「中国人」と呼ぶなど、「犯罪」という面だけで結びついた関係でした。
誘拐事件は、中国籍の李勇容疑者(29)がテレビで池田さん宅が資産家であることを知り、伊藤容疑者に持ち掛けたのがきっかけでした。テレビ番組では、池田さんの自宅ガレージに高級外車が並ぶ様子が映し出され、「そのお値段2300万円」などと紹介されていました。
伊藤容疑者が知り合いの韓国籍の崔基浩容疑者(54)を誘って3人での犯行となりました。
運転担当だったのは、横浜市内に自宅を持ち、免許証を持っていた崔容疑者。レンタカー会社で怪しまれずに中が見えにくいスモークフィルムの張られたワゴン車を借りました。
「事件の数日前に伊藤容疑者から『車の運転を手伝ってよ』と言われた。誘拐計画の詳細は知らなかった」と供述しています。
見張り役の伊藤容疑者を部屋に残し、車で移動を続けたのは崔、李の両容疑者。
27日午前0時40分ごろ、JR川崎駅付近で2人が身柄を確保されるまで、車の走行距離は約150キロ。車の中から、果菜子さんの携帯電話で母親に脅迫電話をかけていたとみられるのが、李容疑者。02年に1年間の就学ビザで入国。期限切れで不法残留となっていました。
日本語が流ちょうで「交渉相手と娘さんについている人は別だから」と強い口調で脅迫していたそうです。
監禁役の伊藤容疑者は今年4月に拳銃強盗を起こしたとされ、今回も拳銃を所持し、警察官の突入時にも発砲。銃の扱いに慣れており、最初から果菜子さんを監視する役割でした。
「組織の内紛で殺害された者もいる」といった話も出ているほど、「命」をなんとも感じていないような人間たちによる強盗団だっただけに、今回誘拐事件で無事解決したことは何よりであったと思われます。