防犯ブログ
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2008年09月22日
福岡・小1殺害で、母親逮捕。公園の防犯 対策。
背後から絞殺か 福岡・小1殺害 抵抗の痕跡なし
福岡市西区の小戸(おど)公園で近くの市立内浜小1年、富石弘輝(こうき)君(6つ)が殺害された事件は、母親の逮捕というもっとも悲惨な結果で終わろうとしています。
この事件のニュースを聞いた瞬間に、なぜか私は「母親がおかしい」という気がしましたが、甥っ子の小学生5年生も祖母に「お母さんがおかしいよね」といった話をニュースを見ながらしていたようで、そういう子供までがこうした「親が子供を殺害する」といった事件を知っている現在の日本が非常に異常であると感じました。
弘輝君が変わり果てた姿で見つかったトイレの外壁と柱の間。巻き尺を当てると、すき間は広い所で約55センチしかなく、その窮屈な場所に、弘輝君は押し込まれていました。
そばにはツクツクボウシの鳴き声が漏れてくる、うっそうとした雑木林。
もう一度、周囲を歩いてみると犬の散歩やウオーキングの人が行き交う舗装路からも、東側の森へのびる道からも、ちょうど、このトイレの一角だけが「死角」だったと、西日本新聞の9月20日記事にありました。
何が母親の心の中に起きたのか分かりませんが、こうした事件がここのところ多すぎるように感じるのは私だけではないと思います。
総合防犯設備士の目から、この事件を考えてみたいと思います。
死亡推定時刻は18日午後3―5時と昼間です。大きな公園で遊具もあり、多くの人がそこにはいたはずであるのに、誰も犯行に気付いた人はいませんでした。やはり死角になる場所であったと考えます。その死角を補完する防犯カメラなどの対策もされていませんでした。
「道路、公園、駐車場、駐輪場及び公衆便所に係る防犯規準」というのが「安全・安心まつづくり推進要綱」として平成12年警察庁が策定しています。犯罪被害に遭いにくいまちづくりをすることが目的となっています。
そうした中で、公園には
●周囲の道路、住居からの見通しの確保
●公園周囲に、交番・駐在所、子供110番の家、又は公園に防犯ベルがあること。
●防犯灯、街路灯などで「夜間において人の行動を視認できる程度の照度が確保されていること。(水平面照度3ルックス以上)
などがあります。
又、公衆便所では、
●道路から近い場所など周囲からの見通しが確保された場所に設置されていること。
●防犯ベルが各個室ごとに設置されていること。
●建物の入口周辺及び内部においては、人の顔、行動を明確に識別できる程度以上の照度が確保されていること。(水平面照度50ルックス以上)
などがありますが、いずれも、「防犯 カメラの設置」が記載されていません。
しかし、もし防犯 カメラがもし設置されていれば、不審な人物の公衆便所への出入りは録画されており、もっと早く犯人などを特定できた可能性もあります。
又、防犯 カメラ自体の抑止効果もあると思います。
今回のような「母親の犯行」というのは、そうした防犯 カメラや防犯 ベルなどで防げるものではないかもしれませんが、「防犯環境設計」として犯罪の発生しにくい環境を作ることが重要だと考えます。
多発する親の子供殺人、子供の親殺人の、抜本的な解決は、「心の部分」のケアや対策が不可欠ですが、併行して地域としてこの事件を契機に、公園、公衆便所の防犯対策を考え、実施していただくことをぜひお勧めしたいと思います。
悲劇の公園には子供たちの姿が消え、歓声が消えてしまいました。
一日も早く、子供たちの姿が戻ることを期待したいと思います。