防犯ブログ
- 放火・火災
2009年11月24日
高円寺居酒屋の火災
多数の死傷者を出した高円寺のビル火災に関して、原因は出火元の厨房(ちゅうぼう)のダクトなどに付着した油に引火して、燃え広がった疑いがあることがわかりました。
●ダクトの油に引火か 非常階段前に座布団山積み 高円寺ビル火災
東京都杉並区高円寺南のビル2階の居酒屋「石狩亭」で4人が死亡した火災は、出火元の厨房(ちゅうぼう)のダクトなどに付着した油に引火して、燃え広がった疑いがあることが23日、捜査関係者への取材で分かった。一方、店の非常階段は扉の前に座布団が積まれるなど使用困難な状態だった疑いも判明。警視庁捜査1課は火災発生時の状況を調べるとともに、防火管理が適切だったか関係者から事情を聴いている。
捜査1課などの調べでは、調理中の焼き物から火が出て、コンロにたまった油に引火。火柱となってダクトや壁の油に燃え移っていったとみられる。
一方で従業員が火に水をかけたり、ぬらしたおしぼりで消火を試みたとする証言もあり、高温の油に水をかけた場合に水分が膨張する「水蒸気爆発」を起こした可能性もある。
店の天井に張られた装飾布に次々と延焼し煙が充満したとみられ、司法解剖の結果、4人の死因は一酸化炭素中毒だった。このうち客だったTさんとMさんは飲食していた座敷で倒れていた。
(11月23日 産経新聞より引用)
「水蒸気爆発」とは、水が非常に温度の高い物質と接触することにより気化されて発生する爆発現象のことです。
天ぷらなど揚げ物を調理中に油に火が点いた場合、火を消そうと水をかけると水蒸気爆発が起こるため、注意が必要です。
建物火災の出火原因で上位を占めるものは,こんろが起因するものが最も多く,特に天ぷら油を使用中に発生していることが多いのです。
一般に天ぷら油は,その温度が約360から380℃以上になれば,発火すると言われています。
●天ぷら油は過熱を続けると、口火がなくても自然に発火する。
●この発火に熱源の種類は関係ない。
●コンロの火を弱火にしても、15分〜20分も過熱し続ければ火はついてしまう。
●加熱を続けた場合の発火までの時間は油の量や油の新鮮度、ナベの形状等により異なる。浅いナベで少量の油でてんぷらをする場合にはほんの少しの時間で高熱となるため、より注意が必要。古い油も早く発火する。
天ぷら油をガスこんろで加熱すると,約10分で白煙が発生し,約20分後には発火点に達し火がつきます。
一度使用した天ぷら油は,揚げかす等があり,それが灯芯となって発火する時間が早くなることもあります。ほとんどの店では何度もてんぷら油を使用しているわけで、発火時間が早いということになります。
天ぷら油火災の多くは,天ぷらを揚げているときに電話がかかったり,来客の対応をするため,台所を離れていたときなど,ちょっとした油断が原因で発生しています。今回の居酒屋では原因はまだわかりませんが、一人で多くの料理を担当していますから「ちょっと目を離した隙に」という可能性もあるのではないかと思います。
天ぷら油火災が発生した場合,水をかけて消火しようとすると「水蒸気爆発」が発生し、炎が急激に拡大し,周囲に油が飛び散って大やけどをする場合があり,大変危険です。
「マヨネーズや野菜を投げ込むといい」などという消火方法もお勧めできません。絶対に止めましょう。
天ぷら油の火災に対する消火方法のポイント
●あわてて水をかけたりしない。
●消火器があれば消火器で消火する。この時,消火器の薬剤を鍋に向けて噴出すると,中の油が飛散するので,壁などで噴射の勢いを弱めてから鍋の中心へ移動して消火する。
●こんろの火を止め,鍋を覆うふたをして空気を遮断し,消火する。ただし,すぐにふたを開けると再び発火するおそれがあるので,油温の温度が十分下がるまでふたを開けない。
●濡れたシーツや大きめのタオルを使用して,ゆっくり鍋全体を覆い,空気を遮断して消火する。
この時,炎でやけどしたり,慌てて鍋をひっくり返したりしないよう注意する。
●火が消えて安全な状態になってから,ガスの元栓を閉めること。
●鍋を屋外に搬送するのは,やけどの危険があるので注意すること。
そして、天ぷらをする時には、
●決してその場から離れない。
●電話や来客時には必ず一旦火を止める。
●過熱防止装置の付いたコンロを使用する。
●服に燃え移る可能性もあるため注意。
厨房には必ず消火器を常備し、設置場所はもとより、その使用方法もきちんと把握しておくことが重要です。
消火器自体も古くなると爆発することがありますので、購入時期も明記し、点検しておきましょう。
そして万が一火災が発生してしまった場合には、まず周囲に知らせることが重要です。
又、店舗などの場合には、お客様への避難誘導が重要です。
非常口に物を置いたりしていないか常日頃からチェックし、何かあった時にはすぐに避難誘導できるようにすることも重要です。
放火・火災対策