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2012年12月07日 イタリアで銅線泥棒が多発 なぜ銅線が狙われるのか?


イタリアで電車の銅線に代表される銅製ケーブルの盗難が多発しています。
それにより電車の遅延や通信業社の不通などが発生し、市民の生活に支障を来している状況です。
最近起きた盗難では400kgのケーブルが奪われました。
なぜ銅線なのでしょうか? そして盗まれた銅線はどこへ向うのでしょうか?

11月19日の朝、ローマの接続駅で大量の銅線が盗難され、鉄道の運行がストップしました。
RFI(イタリア鉄道網:旧イタリア国鉄)によると、ローマ・フィウミチーノとの接続線が運休して、チヴィタヴェッキア-ローマ間では遅延が発生しました。

軍警察は、銅線のケーブル400kgをもっていたローマ在住の24歳と74歳の2人を逮捕しました。
これは、イタリアで珍しい事例ではありません。銅線の盗難は、昨今増加している犯罪なのです。

この類いの盗難は、わずか数年間で憂慮すべき規模に達し、企業とインフラを直撃しています。
2008年に初めて問題が表面化し、10年に銅が急激に価格上昇し、1年で価格が2倍になり、問題が再燃しました。
11年にはさらに12%増加して、12年もこれまでの水準を上回る状況が続いています。

銅はあらゆる意味で、犯罪組織が欲しがる宝物です。
銀に次ぐ電気や熱の最高の導体と考えられているだけでなく、腐敗に強く頑丈で柔軟性があり、性質を損なうことなく100%リサイクルすることができます。
磁性がなく、簡単に加工でき扱いやすい。
さらに抗菌性があって、表面でのバクテリアの増殖を防ぎます。
ガスを通さず、簡単に曲げることができます。そして太陽光に晒されても劣化しない。

輸出できる地域は、ヨーロッパの東側(特にポーランド、ドイツ、オーストリア、ハンガリー)から、中国やインドまで非常に広い。
この市場のネットワークは広く、よく組織されています。
末端の泥棒たちが銅を盗み、その後kgあたり最大5ユーロでくず鉄業者や仲介業者に売ります。
それから鋳物工場に送られるか、その場で加工されます。

身元のわからない地金になったら、銅は外国に輸出されます。そして転売され、さまざまな再生サイクルに乗せられます。
金属は加工され形を変えて、最新のTVゲームや携帯電話、世界中の太陽光発電施設のケーブルなどに再利用されます。
それだけでなく輸出された銅は、再び故国に戻ってきて、さまざまな製品の内部の部品となって再び売られている可能性もあります。

銅は非合法市場では、kgあたり4~10ユーロの値をつけられています。
それらは土木建築や交通、電気機械、水道・給湯設備、蛇口、船舶の部品、建築、貨幣、工芸、装飾品などに用いられます。
<WIRED.jp 12月3日(月)12時30分配信より抜粋>

イタリアで多発している手口だから、日本では関係ないとは言えないニュースです。
この記事では銅が狙われる理由が分かりやすく説明されています。

優れた電気や熱の導体であり、腐敗に強く頑丈で柔軟性があり、100%リサイクル可能で、簡単に加工できる。
さらに抗菌性があり、太陽にさらされても劣化しないなど良い点ばかりです。
これだけ条件が揃えば犯罪者に狙われる、彼らが欲しがるのも分かります。
また、加工すれば、元の状態、元の所有者を特定することも困難になりますから、盗品であっても足が付く可能性が低くなるというのも人気の理由でしょう。

数年前、日本でも金属窃盗が大流行しました。
マンホールや公園の遊具など、これまで犯罪者が目をつけなかったようなものまでもが狙われ、盗まれ、被害に遭いました。
この傾向は今も続いており、消火用のホースの金具などが盗まれる事件も発生しています。

ある犯罪者が盗み、それがニュースとなり、それだったら自分でも盗めると考え、そしてそれを実行し転売してみる、これはもうかると分かれば、さらに盗もうとします。
まさに犯罪のスパイラルです。

被害者にとっては大切なものでも、他の人にはどうでもよいようなものがあります。
これらは、被害に遭って、なくなって、壊されて初めてその価値・大切さに気付くということがあります。
また失って初めて生活、仕事に必要で、事後の活動に支障をきたすということもあるでしょう。
それは犯罪という被害に遭ってしまって初めて実感することでしょう。

まさか自分が被害に遭うとは・・・、なぜ自分が被害に遭わなければ・・・、どちらも被害者が後悔するパターンですが、そうならないように自分を守る対策を事前に行うべきです。

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