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2016年04月19日 サドル泥棒による「私は変態じゃない」裁判

いまから2年半ほど前の平成25年8月、横浜市で自転車のサドル3個を盗んだ男が逮捕されました。

そして男の部屋からは、どれも女性向けと思われる自転車のサドルがなんと200個も見つかりました。
さらに警察の取り調べに対し、男が「女性が座ったサドルの皮の質感や匂いが好きで、なめたり嗅いだりしていた」と供述したものですから、新聞、雑誌、テレビでいっせいに大きく報じられたのでした。

彼は「サドルフェチ男」と命名され、スキャンダラスに扱れましたから、いまも事件を覚えている人はいるかもしれません。だがその後、男の処分がどうなったかなど、続報はいっさいありませんでした。

新潮45の4月号で、某写真家が、その後のサドル事件の意外な展開をレポートしています。
それが「サドル窃盗男が起こした『私は変態じゃない』裁判」という記事です。

タイトルからわかるように、男は裁判を起こしていました。
それは神奈川県(神奈川県警)と報道したスポーツ紙などメディア6社を相手取ったもので、「私はサドルフェチではない」と名誉毀損で損害賠償請求する、つまりは自身が「変態ではない」と主張する裁判だったのです。

写真家によれば、サドル窃盗犯は不起訴処分になっています。
そしてその名誉毀損裁判はその処分決定から半年後の2014年から始まったという。

記事では、訴状や提出された資料を丹念に読み込んで、現在も進行中の裁判の要点を整理しつつ、ことの本質に迫ろうとしています。

原告(犯人側)の矛先は、動機についての警察が行った広報の内容と、それを受けての報道のあり方に向けられていました。
具体的には、警察が「『女性の匂いを嗅ぐために盗んだ』とデフォルメした原告の供述内容を各社の記者にレクチャーし」、それをメディアがそのまま書いた点を名誉毀損としたのです。

では、原告が主張する本当の動機は何だったのか。その主張を写真家が裁判資料から引用しています。

「盗んだサドルの匂いを嗅いだり舐めたりしたことがあったのは事実であるが、匂いを嗅いだり舐めたりすることが盗みの目的ではなかった」

「人間関係のストレスが引金になって、サドル窃盗がやめられなくなり」

「盗んだ動機としては『革が好きだから盗んだ』『革特有の匂いが好きだから盗んだ』『人間関係のストレスで盗んだ』以外には、原告自身は今現在も説明することができない」

なぜ「サドル」なのかはまったく不明である。これでよく提訴したな、と思わずにはいられない。当然、写真家もその説明に満足していない。
一方、県から証拠として提出された男の供述調書も紹介しています。

「私は去年の夏過ぎ頃から自転車に乗っている若い主婦をみて、サドルに女の人の股部分が付いている姿に興奮を覚え、またそれに加え革フェチで、サドルと独特の皮の質感が好きだったことから女性の乗るサドルを手に入れて触って匂いを嗅いでみたり舐めてみたいと思うようになったのです」

供述段階では、まさに「フェチ」というほかない内容だったのです。
しかしながら原告側はこれらの供述調書などの内容を全否定してくる。犯人の男には、精神病歴があり、知的能力も低く、「誘導されて録取されたもの」と主張しているのです。
 
果たして真の動機は何だったのか。供述調書の内容は「精神病」で片づけられるものなのか。そして何よりなぜ「サドル」だったのか。

写真家は事件を「孤独に起因する収集癖」と位置づけ、サドルの向こうに「何かがある」と書いています。

裁判は横浜地方裁判所でいまも続いています。
<デイリー新潮 3月28日(月)5時10分配信より>

自転車のサドルが盗まれる事件は数年前に大きくニュースになりました。
私もブログの中で取り上げた記憶があります。

しかし、その後犯人が捕まったニュースや動機がどうだったかという報道はなかったように思います。
もしかしたら報道はされていたのかもしれませんが、最初に事件が発生したとき程ではなかったのは間違いないと思います。

捕まった犯人がサドルのフェチとスキャンダラスに扱われ、そのことに対して変態ではないという裁判を起こしていたということに驚きました。

まあ、正直どうでも良い話ですが、ニュースのタイトルである「私は変態じゃない裁判」というワードに興味を惹いたので取り上げてみました。

裁判の結果はどうなるのでしょう?

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