防犯ブログ
- 犯罪情報
2017年03月03日
銀行強盗はリスクが高すぎ? 振り込め詐欺に移行?
銀行や郵便局などに押し入って現金を狙う金融機関強盗が全国的に激減し、ピーク時の約8分の1になっていることが警察庁への取材で分かった。兵庫県内でも2008年に姫路市内で発生して以降、約8年半、実被害はない。映画やドラマでも社会を揺るがす象徴的な事件として描かれてきたが、犯罪心理に詳しい専門家は「防犯意識と対策が向上し、捕まるリスクが高くなったことで割に合わない犯罪になった」と分析する。
警察庁によると、統計を取り始めた1983年から2015年までの全国の金融機関強盗の認知件数は、01年の237件がピークで、約1日半に1件のペースで発生していた。02年から6年間は130~140件台で推移し、08年には二桁台に減少。12~15年は30件台にとどまっている。
兵庫県警によると県内もほぼ同様の傾向で、1998年と2001年の12件が最多。11~16年は12年のゼロを除くと各1件だった。08年6月に姫路市内の郵便局で206万円が奪われて以降、すべて未遂で終わっている。
「多くの職員や客に見られる上、防犯カメラも備わる。現金の出し入れに時間もかかる。利益と刑罰の重さを天びんにかけるとハイリスクな犯罪だ」
犯罪心理学が専門の東洋大教授はこう指摘する。06~15年の10年間の摘発率は、14年の90・3%を最高に平均82・1%。05年までの平均75・4%よりも高くなっている。
金融機関強盗に代わり、一部の犯罪者は手口が多様で刑罰も軽い振り込め詐欺などの特殊詐欺へシフトした可能性もあるという。教授は「あえて危険を冒す必要がないほど、新種の犯罪はある」とする。
被害自体は減少傾向だが、金融機関は気を緩めていない。みなと銀行(神戸市中央区)は支店ごとに、逃走経路や服装、犯人の声色など、不審者の特徴を記憶する担当者を決めている。県警と連携した訓練も本年度中に8回実施。若手の多い支店を中心に、防犯講話も計22回続けている。
防犯用カラーボールの製造大手も「カラーボールの使い方が広く普及し、訓練は質、量ともに向上した」と話す。有用性が金融機関以外にも知られ、新規オープンのコンビニや障害者福祉施設などからも注文が多いという。
■兵庫県では5億4千万円強奪被害も
兵庫県警が統計を取り始めた平成以降、県内の金融機関強盗の被害最高額は、1999年12月に高砂市内の郵便局で8155万円が奪われた事件だった。
夕方、最後に局舎を出た女性局員を男3人組が拉致。鍵と警備解除用のカードを奪って現金を強奪した。事件は有力情報がないまま、2009年に公訴時効が成立した。
2番目に被害額が多かったのは、91年11月に姫路市内の金融機関であった2437万円。3番目は01年6月に同市内の郵便局であった2276万円で、いずれも解決に至っている。
県警によると、16年の金融機関強盗は未遂1件のみ(速報値)。8月に同市内の郵便局に刃物を持った男が押し入り、「金を出せ」と脅したが、何も取らずに逃げた。男は直後に出頭した。
建物内に侵入していない事件(途中強盗)では、94年8月、神戸市中央区の福徳銀行神戸支店(当時)前で、現金輸送車から約5億4100万円入りのジュラルミンケースが強奪された。被害額としては当時の最高額で、主犯格が指名手配されたが、時効が成立した。88年の12月末には、同市須磨区の太陽神戸銀行(現三井住友銀行)で現金など約3億2千万円を積んだ輸送車が乗り逃げされた。7年後に時効を迎えた。
<神戸新聞NEXT 1/23(月) 7:30配信より>
映画やドラマ、小説などでは銀行強盗という犯罪が描かれることが多々あります。
しかし、現実の世界ではその手口が行われることが激減していることがわかりました。
金融機関には防犯カメラが完備されています。
それも1台や2台ではなく、あらゆるところに設置されています。
さらに、行員が非常時に押すボタンがあり、大音量の非常ベルが鳴り出します。
警備会社と連動されている場合もあり、警備員の駆けつけや警察への通報も迅速に行われます。
また、行員が備え付けられたカラーボールを投げつけられる可能性もあります。
銀行強盗を想定した訓練も定期的に実施されているでしょう。
行員や利用客など多数の人に自分の姿、顔、特徴を認識される危険性も高いです。
冷静に素人から見ても金融機関への強盗は、難易度が非常に高い業種と言えます。
あえてそこを狙わずとも他にもっと難易度の低いところはいくらでもあると犯罪者が考えるのは自然です。
一攫千金を狙うなら、銀行強盗という手口ではなく、銀行の地下を掘り進み、金庫から直接大金を盗む方がリスクは低いでしょう。
ただ、長期的かつ計画的な犯行になりますし、内部の事情に詳しい者の協力が必要ですし、また、周囲の住人に知られる可能性もありますから、簡単ではありません。
一方、振り込め詐欺は、高齢者の電話番号さえ知ることができれば、電話で高齢者を誘導し、金融機関から自分の口座へ入金させることができればリスクは低いです。
後に振り込め詐欺ということが判明し、口座から犯人特定される可能性がありますが、それは闇取引等で売買される他人の口座を使うなどすれば回避できます。
昨日テレビで見ましたが、高齢者に還付金が返ってくると電話し、同じ口座に何度も振込みさせ、別のATM利用者が不審に思い警察に連絡するも、それでもだまされたことに気付かない被害者がいました。
それらしい役所名で電話し、年金や税金の還付金が返ってくると言われれば素直に従ってしまう高齢者は多いでしょう。
決してこの被害者がだまされやすい人ということではないでしょう。
強盗という直接的なリスクの高い犯罪手口から、間接的でリスクの低い振り込め詐欺という犯罪手口への移行がどんどん進むような気がします。
一攫千金は難しいものの、多数の人を対象に、自らが捕まるリスクが低い犯行手口は犯罪者が長く愛する手口ではないでしょうか。