防犯ブログ
- 万引き
2021年07月02日
「万引き」と「窃盗」の違い?
身近な「犯罪」のひとつが、万引きではないでしょうか。先日、弁護士ドットコムニュースが掲載した記事について、読者から「万引きと窃盗でなにが違うの? 同じだよね」というコメントが寄せられました。
その記事(「池袋暴走事故『90歳こえると刑務所に入らない』は本当か?」)では、弁護士による解説の中で、以下のように「万引き」「窃盗」の両方に触れる箇所がありました。
「『高齢者だと刑務所に行かない』という説が広まっているのは、そもそも高齢者が起こす事件は万引きなどの比較的軽微な犯罪が多く、不起訴となる確率が高いからだと思われます(平成30年版犯罪白書『進む高齢化と犯罪』)。
なお、高齢者でも刑務所に行くことは当然あり、その多くは窃盗です(同白書)。認知症による万引きなどの場合、刑務所に入れても解決にならないケースがあり、我々弁護人としても医療に繋ぐなどの弁護活動をすることもあります」
この解説を読み、読者の方は「万引き」と「窃盗」がどう違うのかを疑問に感じたものと思われます。結論から言えば、「たしかに万引きは窃盗だが、窃盗が必ずしも万引きとは限らない」となります。法律を整理していきます。
●「万引きは窃盗」だが「窃盗が万引き」とは限らない
万引きとは、買い物客を装ってお店に入り、代金を支払わずに無断で商品を持ち出す行為です。
法的には通常、窃盗罪(刑法235条)に該当しますので、「万引きは窃盗」「万引きは犯罪」ということができるのです。なお、刑法上の罪名などに「万引き」という名称はありません。
「窃盗」にあたる行為には、万引き以外にもさまざまな手口(名称)があります。
法務省が作成する「犯罪白書」では、(1)侵入窃盗、(2)非侵入窃盗、(3)乗り物盗の3つの態様に大きく分類したうえで、それぞれでさらに細かく手口ごとに分類しています。
(1)侵入窃盗・・・空き巣、忍込み、出店荒し、事務所荒し、その他
(2)非侵入窃盗・・・万引き、車上・部品ねらい、置引き、色情ねらい、自動販売機ねらい、払出盗、仮睡者ねらい、すり、ひったくり、その他
(3)乗り物盗・・・自転車盗、オートバイ盗、自動車盗
万引きは(2)非侵入窃盗に分類されています。非侵入窃盗の中では、2009年以降、その他を除くと、もっとも認知件数の多い手口となっています(2019年は93,812件)。
つまり、「万引きと窃盗でなにが違うの?」という疑問には、「たしかに万引きは窃盗だが、窃盗が必ずしも万引きとは限らない」という回答になります。
●万引きは「捕まりやすい犯罪」
ちなみに、窃盗の検挙率や法定刑はどうなっているのでしょうか。
犯罪白書で2019年における窃盗の検挙率を見てみると、侵入窃盗は「64.1%」、非侵入窃盗は「44.0%」、乗り物盗は「9.2%」、窃盗全体では「34.0%」です。
一方、万引きの検挙率は「70.2%」で、比較的検挙率の高い侵入窃盗をも上回る数値となっています。また、窃盗を除く刑法犯の検挙率(52.5%)より高いことから、万引きは「捕まりやすい犯罪」といえるでしょう。
比較的軽微な犯罪とされる万引きですが、窃盗罪自体は決して軽微な犯罪とは位置づけられていません。法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と定められており、詐欺罪(刑法246条)や業務上横領罪(刑法253条)と同程度です(ともに10年以下の懲役)。
「万引きは警察に通報します」との掲示をかがげるお店は少なくありません。それだけ万引きによる被害がお店にとって深刻な問題だということでしょう。もし「たかが万引き」という認識を持っているなら、今すぐあらためる必要があります。
<6/26(土) 9:20配信 弁護士ドットコムニュースより>
「万引き」と「窃盗」、どちらも物を盗むという犯罪ですが、その違いまでを理解している人は少なそうです。
特に「万引き」と聞くと、つい軽い犯罪のように感じてしまうのは、言葉の響きからでしょうか。
盗難対策として、損害保険に加入しているという人も多いでしょうが、「万引き」による盗難被害は補償されないことが多いのはご存じでしょうか。
補償対象に盗難はあっても、万引きは対象外となっていることが多く、知識がないと分かりづらいのが現状です。
盗難と言っても、万引きなどの非侵入窃盗は対象外で、侵入窃盗が対象のメインにあると言えます。
盗難が対象とあると、万引きも当然対象だと勘違いし、トラブルになる可能性があります。
万が一の被害に対して、保険に入っているから安心だという方もいるでしょうが、被害の内容によっては対象にならない場合もありますので注意が必要です。