防犯ブログ

  • 窃盗
2021年11月18日 漁協職員が組織的犯行でカツオ大量窃盗 30年前から続く根深い問題?

大量のカツオを盗んだとして、静岡県焼津市の漁協の職員らが逮捕、起訴されました。水揚げ日本一の街を揺るがす、組織的犯行の実態を取材しました。

■時価合計約103万円...計量せず運び出す
たたきや、そしてカツオ節など、日本の食卓には欠かせない、カツオ。そのカツオを巡って、卑劣な犯罪は行われました。

駿河湾に面し、日本有数の水産の町として知られる焼津市の焼津漁港で起きた、冷凍カツオの窃盗事件。16日、事件に関わったとして、焼津漁協の職員ら5人が起訴されました。

起訴状によりますと、5人は今年2月、焼津漁港で他の会社が水揚げした冷凍カツオ4トン余り、時価合計およそ103万円を計量をせずに運び出し、盗んだ罪に問われています。

被害に遭った会社の担当者は、次のように話します。

被害に遭った会社の担当者:「当社の船が赤道付近まで一週間、10日かけて行って、何週間もかけて魚をとってきます。非常に危険な作業でもありますし、乗組員が洋上でとった魚をですね、横取りされるなんていうのは、とても許せる話ではない」

■漁師ら怒り...「本当に氷山の一角」
漁師が大きな労力を払ってようやく釣り上げたカツオを、魚の流通に関わる当事者が大量に窃盗に及ぶという前代未聞のこの事件。

焼津市で海産物販売に関わる人たちは、一様にショックを受けていました。

焼津さかなセンター・海産物の販売業者:「良くないことだな。組織ぐるみだもんね。考えられないわな」「非常に残念です。焼津の名前を"汚す"ようなことですからね」「風評被害みたいなのは、あるかもしれない。そこは心配」

漁港関係者によると、カツオが盗まれる被害は、およそ10年前から確認されていたといいます。

一方、被害に遭った会社の担当者は、問題の根深さを感じさせる"ある噂"を口にしました。

被害に遭った会社の担当者:「30年前ぐらい前からとかっていう、噂が出てるんだけど。かなり前から、そういった状況にあるよというのは、先輩たちから聞いてます」

そのうえで、カツオの窃盗は、流通の流れのなかで巧妙に行われていたのではないかと話します。

被害に遭った会社の担当者:「1台のトラックに、例えば7つパレットが積めるのであれば、そのうち4つだけを積んで計量して、残り3つはまた戻ってきて積んで、それを計量せずに持っていってしまうと。うちのケースというのは、本当に氷山の一角なんです」

■専門家「日本の水産流通全般に言える」
水産流通に詳しい専門家は、事件は漁業者と漁協の力関係が影響しているのではと、指摘しました。

東京海洋大学・勝川俊雄准教授:「水揚げされたものを正確な重量や数を計測するのは、漁協の役割ということになっていますので。漁協の方が、多少少ない数字を出したとしても、漁業者としては『何かちょっと感覚よりも少ないな』。本来あったはずのものが『これだけ足りないぞ』というふうには、なかなか言えないですよね」

専門家は、水産流通にもしっかりと「トレーサビリティー」、つまり流通の最初から最後までを追跡できる仕組み作りが重要だと話します。

勝川准教授:「結局のところ、不正があっても誰も気が付かない。チェック機能が、全く働いていない状態であるということ。これは、焼津だけの話じゃなくて、日本の水産流通全般に言えること」
(「グッド!モーニング」2021年11月18日放送分より)
<11/18(木) 11:40配信 テレビ朝日系(ANN)より>


漁師が時間を掛けて苦労して釣り上げたカツオを、流通に関わる者が組織的犯行で大量に盗むという前代未聞の事件ですが、30年ぐらい前から噂は流れており、今回の事件は氷山の一角とも言われています。
漁獲量の減少や漁師の後継者問題など、漁業関係の良いニュースが少ない中で、追い打ちをかけるような悪いニュースです。

色々な面で厳しい職業というイメージの強い漁師ですが、個人的には一攫千金という良いイメージも持っています。
マグロやカツオなど需要のある大きな魚を釣り上げることができれば、数百万円、数千万円という値がついて儲かることがあります。
ただ釣果がゼロやそれに近い日も少なからずあり、その場合は収入がゼロということも当然あり、良い面ばかりではありません。

自分で船を購入する場合、多額の設備投資が必要になり、元を取るまでに相当な時間とお金が必要なこともネックになるでしょう。

日本だけでなく中国などの外国の漁船との縄張り争いなどもあり、安定した漁獲量が見込めない地域も増えてきているようです。
そのような厳しい状況での流通業者による不正というのは、まさに泣きっ面に蜂のような大きなダメージです。

魚の持ち込みから計量や計測、競り、運搬、配送など不透明で不正が起こりやすい部分はクリアにし、そして防犯カメラの映像などで状況を後から確認できるような不正が起こりにくい体制に変えていくべきでしょう。

このままでは漁協の職員や仲介卸業者などは不要という考えがどんどん拡がるような気がしています。
生産者と消費者を直結する仕組みが構築された業界の方が、消費者の手元に早く、そして安価な商品が届けられるイメージがあります。

仲介業者が存在しているからこそまわっている業界というのもあるはずですが、このままでは不要論、そして悪、という負のイメージがつきかねません。
イメージ払しょくのために業界関係者全員で考えなければならない問題だと思います。

加盟企業専用ページはこちら