防犯ブログ
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2022年08月05日
宅配便を送るときに注意すること(発送人、運送会社、荷受人)
宅配便の荷物から1250万円相当のダイヤモンドを盗んだ疑いで、11日、運送会社の元社員が逮捕されました。
窃盗の疑いで逮捕されたのは、運送会社の元社員で無職の男(47)です。
容疑者は2021年7月、大阪市住之江区にある運送会社の集配所で、宅配便の荷物から、合わせて1250万円相当のダイヤモンドの原石20個を盗んだ疑いが持たれています。
警察によると、運送会社内で「発送したはずのダイヤモンドが届かない」という問題が発生し、運送会社が社内調査を行いました。
調査の結果、容疑者が当時、荷物の仕分け業務を担当していて、犯行を認めたことから、警察に被害届を出したということです。
調べに対し容疑者は容疑を認めていますが、運送会社は「コメントできない」としています。
<7/11(月) 20:18配信 関西テレビより>
責任限度額(30万円)以上の請求は可能?
宅配便で送った荷物が途中で行方不明になったとき、運送会社に責任限度額(30万円)以上の請求ができるか?
という疑問が生じますが、過去に同じような事故が起き、裁判で判決が出ているようです。
【最高裁判決】 運送会社に故意または重大な過失がなければ、責任限度額を越える請求はできない。
貴金属を宅配便で送ったところ、運送途中で荷物をどこかに紛失してしまい、400万円近くの損害賠償を運送会社に請求した事件のようです。
なお運送約款には責任限度額30万円、宝石類は引受を拒絶することがあると記載されていました。
一審地裁では一部請求が認められましたが、二審と最高裁では請求が棄却されたようです。
その理由は、損害賠償額を責任限度額の範囲内に限定しないと、そもそも限度額を定めた意味がないこと。
そして、賠償を限度額の範囲に限ったとしても、運送会社に故意または重大な過失があれば、不法行為による損害賠償ができるのだから問題はないとの判断によるものです。
今回の事件では、紛失ではなく、運送会社の社員が盗んだということが、運送会社の重大な過失に当たるかどうかで変わってくるのでしょう。
送る側(発送人)が注意すること
- 30万円以上のものは送らない(運送約款で荷物1個につき責任限度額30万円と記載がある以上、それ以上の価値のものは補償されない可能性が高いので送らない、送る場合は自己責任になることを認識する)
- 一点もの・代替品の無いものは送らない(破損しても補償されない、そもそも預かってもらえない可能性があります)
- 運送保険に入る(保険金額1万円につき保険料10円など、また、壊れやすい荷物などは保険に入れない可能性があります)
- 実際の品名と異なるものは送らない(後々のトラブルになる可能性があります)
- 壊れやすそうなものは集荷前の写真を撮っておく(荷受人から届いたが破損しているとクレームになることもあります)
運送会社が注意すること
- 社員教育の徹底(荷物の取扱いは大切に丁寧に、盗むことは厳禁)
- 防犯カメラによる不正監視(見られていると、良からぬ考えが起こりにくくなります)
- 荷物の持ち出し(いつ、誰が持ち出したか)・配達完了後(配達が完了したか、荷受人のサイン)の履歴が分かるようにする
- 荷物を預かる際、状態を確認する(配送中に損傷したとクレームになることもあります)
受け取る側(荷受人)が注意すること
- すぐに開封し、依頼した内容、送り状の内容と合っているかを確認する
- 箱や荷物が損傷していたら、写真を撮るなどして後で証明できるようにする(受け取り時にはすでに損傷していたことを示す)
発送人、荷受人、運送会社、3者それぞれが注意することで、トラブルを避けることにつながると思います。