防犯ブログ

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2023年06月30日 鹿児島 落書きはいたずらでは済まない 犯人逮捕で被害件数減少

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 新型コロナウイルス下に鹿児島市の天文館地区で急増していた落書き被害が減少傾向にある。人通りの回復に加え、落書きした疑いで男2人が逮捕されたことによる抑止効果も一因とみられる。感染防止で人数を制限していた市内のボランティア団体はクリーン活動を本格的に再開。落書きのない街に向け、官民協力の気運が高まっている。

 16日午前7時の天文館地区。ボランティア団体「天文館安心・安全ラクガキ消し隊」や鹿児島中央警察署員と一緒に、記者も自動販売機や配電盤の落書きに専用スプレーを吹きかけ、ぞうきんで拭き取った。インクがにじんで壁の色が変わったり、塗装がはげたりしないように注意しながら、細かくこするように消す。描くのは一瞬だが、消すには相当な労力と時間がかかる。

 大人数での活動は4年ぶり。約40人が参加し山之口町と東千石町を中心に1時間半で15カ所を消した。店の壁やシャッターに多発していた1年前に比べ、人目の少ない裏路地の小さな絵が目立つ。消しても塗装の下から別の絵が出てくる所もあり、いたちごっこが続く現状も垣間見えた。

 

 県警によると、2022年の県内の塗料による汚損認知件数は過去10年で最多の94件。前年の47件から倍増した。天文館地区では20~22年に被害が急増し、ラクガキ消し隊が22年に消した落書きは約250カ所で、例年の4倍に上る。

 20年以上活動する牧迫愼一隊長(73)は「外出自粛で人目が減った時期は特に被害が多かった。人通りが回復し始めた2月半ばごろから、新しい落書きはあまり見かけなくなった」と振り返る。

 被害多発を受け、鹿児島中央署は、広報紙での注意喚起や情報提供依頼、被害の多い地区の巡回を強化した。2、3月には、東千石町のブレーカーの箱や壁面に落書きしたとして、器物損壊容疑などで20代の男2人を逮捕=いずれも3月17日付で起訴。砂本安久天文館・地域安全対策官は「放置すると 治安悪化にもつながる。目撃したらすぐ通報して」と呼びかける。

 

 月1回、天文館地区の落書き状況を確認する「天ちゃん会」の高田秋穂会長は「修繕費がかかっても泣き寝入りするしかなかったが、今回の逮捕でいたずらでは済まされないことが示された。かなりの抑止効果が期待できる」と語る。

 被害は減少傾向とはいえ、消すには所有者の許可が必要で、管理者の分からない壁や看板は手つかずだ。牧迫隊長は「周囲の協力なしには、消したくても踏み込めない。まずは関心を持って、手を取り合ってきれいな街をつくりたい」と力を込めた。

<4/19(水) 17:30配信 南日本新聞より>

 記事のタイトルは、「検挙に勝る防犯はなし」とありましたが、まさにその通りだと思います。

 犯罪者が犯罪を犯すのは、逮捕、検挙を逃れる術(すべ)、可能性があるからです。

 もし、この数字が100%になれば、誰も犯罪を犯す者がいなくなるはずです。

 

 逮捕、検挙されれば負け、それを逃れたら勝ち、という構図で見ると分かりやすい勝負です。

 最初から100%負けることが分かっている勝負を行う者はいません。

 現実的に100%という数字は不可能でしょうが、それに近い数字まで検挙率が高めると、犯罪の抑止力につながることは明らかです。

落書きは犯罪

 落書きと聞くと、犯罪というイメージよりも、(子供の)落書き、いたずらという軽いイメージを持つ人も多いでしょう。

 また、犯罪の場合、具体的にどの犯罪に該当し、どのくらいの刑罰を受けることになるのか分かっていない人も多いかもしれません。

 器物損壊罪や建造物損壊罪などの罪に問われる可能性、地域の迷惑防止条例違反にあたる可能性があるとのこと。

 器物損壊罪の場合、3年以下の懲役または30万以下の罰金が科せられるようです。


落書き犯を報道、抑止力へ

 落書き事件の場合、どうしても殺人事件のように大きく報道されることはありませんから、実際に落書き犯が検挙されていても、その事実を知らない人が多いかもしれません。

 実際の落書きの映像を流し、具体的な犯罪名(器物損壊罪、建造物損壊罪)、刑罰の内容、犯人の名前や映像も流すことで、犯罪として扱われることをもっと広めるべきではないでしょうか。

 

 落書き程度では犯罪になるとは思わず、被害者が警察に届けることもない、警察が実際に捜査することもない、と甘く考えている加害者(犯人)は少なからず存在するように思います。

 逮捕される可能性を示すことで、今後、同様の犯行を思い留まる可能性が高まります。

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 落書き犯が報道されれば、SNS上で落書きの映像と共に犯人の映像も拡散し、多くの人の目に触れるはずです。

 自分も軽い気持ちで似たような落書きを行っていた者、行おうとしていた者はすぐに考えを改めるでしょう。

 回転寿司店などの迷惑動画も同様ですが、犯罪になる、被害者への弁済、刑罰、ということは全く考えていないため、重大な事態を招く可能性を示唆することが重要です。


再発防止策

 落書きされそうな箇所の周辺に防犯カメラを設置すれば、当然ですが再発防止効果は高いと思われます。

 ただ、予算的な問題があり、お金を掛けられない場合もあるでしょう。ボランティアによる見回りや警察に協力してもらってパトロールの頻度を増やしてもらうなどの取り組みは効果があるはずです。

 

 また、落書きされた箇所をこまめに消し、落書きしにくい環境にするのも効果があるかもしれません。

 落書きされている箇所を放置すると、その近くに新しい別の落書きを増やしても構わないだろう、と思わせかねないからです。(犯罪が別の犯罪を呼び、治安がどんどん悪くなっていくことにも似ているかもしれません)

 

 挨拶などの声掛けを積極的に行うなど、住民同士のコミュニケーションがとれていると、部外者、不審者にとっては活動しづらい環境になり、犯罪が起こりにくくなります。

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