防犯ブログ
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2024年10月02日
40代会社員 通勤電車で同じ女性に70回以上の痴漢行為 衝撃の犯行理由とは?
■少なくとも70回、痴漢し続けた40代男性
被告人は手錠をかけられ、そこにつながる腰縄を拘置所の刑務官につかまれ入廷した。上下とも濃紺のトレーニングウェア。2カ月ほど前に逮捕されてからずっと勾留されているのだ。40代半ば。きりりと甘い、いわゆるイケメンか。職業を尋ねられ「元会社員」と答えた。本件で解雇されたそうだ。
検察官の冒頭陳述によれば被告人は、本件犯行の10年前に痴漢で捕まり、起訴猶予ですんだ。同じく6年前にまた痴漢で捕まり、罰金40万円に。被告人は離婚歴がある。そのどちらかで離婚に至ったのか。しかし痴漢は止まらなかった。JR○○線で通勤するうち本件被害女性を見かけ、1年以上にわたり少なくとも70回、痴漢行為を続けた。
■我慢をしていると犯行はどんどんエスカレート
被害女性の調書を検察官が読み上げた。
調書「出産して仕事に復帰......子どもを預け、○○快速に乗らなければ......時間の関係で女性専用車両に乗れないこともあり......」
朝、あわただしく子どもを保育所などに預け、決まった時刻に同じ電車に乗る、そこに被告人は目を付けたわけだ。
調書「狙われるようになり......何とか顔を見たところ、同じ犯人と気づきました......週に2~3回......我慢していると手口がエスカレート......さらに下着の中にまで手を入れてきて......場合によっては私の膣の中に指を入れることも10回弱......乳房も4~5回......」
○○線の電車内にとどまらず、乗り換えた先の△△線まで追いかけてくるようになった。ついに被害女性は警察に相談。
現場を押さえて逮捕するため、複数の警察官といっしょに電車に乗った。が、被告人は敏感に気づいたようで犯行に及ばなかった。
半年後、もう大丈夫と思ったか被告人は痴漢行為を再開。被害女性はまた警察官に相談した。
被告人は、まずは被害女性の脇腹を触った。それからズボンと下着の中へ手を入れ、下腹部へ手を伸ばした。被害女性が被告人の腕をがしっとつかみ、いっしょに乗車していた警察官が現行犯逮捕!
■被害女性と「結婚したいなって思って」
なぜそこまで1人の女性を付け狙ったのか。被告人はこう述べた。
被告人「自分でも、途中から(被害女性を)気に入ってしまって......最初は触れて、そのとき、うつむいて恥ずかしそうにしてて、そういう優しいところにつけ込んだ犯行です......自分勝手なんですけど......相手がおとなしい......(自分を)気に入ってくれてるんだと......」
そのあとの被告人の供述に、私は度肝を抜かれた。
被告人「(被害女性を)すごく気に入って、結婚したいなって思って......」
痴漢男と誰が結婚するんだ! とは痴漢男は考えない。そもそも女性の嫌悪感や痛みに対し想像力が欠けている。人格のある人間として女性を見ない。自らの性欲に都合よく、ねじ曲げて受けとめ、妄想をふくらませる。そのあたりが性犯罪者の特徴かなと私は見る。「認知の歪み」という言葉をよく聞く。確かにひどく歪んでいる。
■痴漢犯と被害者が結ばれるテレビドラマ?
検察官は、育ちも試験の成績も良さそうな、背の高い青年だ。被告人質問で、自分の感想、意見を大上段からぶつけまくった。裁判官は止めなかった。
検察官「被害者が優しいんですか! さらに、結婚したい? なんでそうなるんですかっ!」
被告人「(消え入るように)好きになって......」
検察官「痴漢してくる人と、そんなことありますかっ!」
被告人「前に1回、テレビで......」
検察官「それテレビでしょ! テレビでやってることすべて本当じゃないでしょ!」
痴漢犯と恋に落ち、結ばれた、そんなテレビドラマでもあったんだろうか。ちょっと信じ難いが。
検察官「同じ人からこれだけ、もう、その気持ち、分かりますかっ! 絶対に分かりませんあなたにはっ! だけども、分かろうとする努力はヤメちゃいけない!」
被告人「(消え入るように)そうです......」
検察官「謝罪文、受け取らないのは当然のことと思いますよっ! 犯人から、好きになった、結婚したい、そんなことあるわけないじゃないですかっ!」
■検察官は厳しく「懲役1年」を求刑
被告人は小さくなり、「今はそのことが分かり反省している」という趣旨のことをつぶやいた。
検察官「私は一切っ、信じることができないっ! だけども、一生かけて償いなさい。それがあなたのケジメじゃないですかっ!」
論告・求刑で、検察官はこう述べた。
検察官「執行猶予付きなどという寛刑を与えるべきでなく、即刻矯正施設へ収容するべきですっ! (迷惑条例違反の)最長期間である懲役1年に処するを相当と思料しますっ!」
こんな激しい調子は珍しい。罰金前科1犯のみなら、相場的に判決は執行猶予で決まりだ。がっちり脅して再犯を防がねば、そういうことなのだろう。
約2週間後、本件「迷惑条例違反」の判決を傍聴した。被告人は、やはり手錠と腰縄につながれ、トレーニングウェアの姿で入廷した。背が丸い。法廷中央、証言台のところに被告人を立たせ、裁判官が判決を言い渡した。
裁判官「主文。被告人を懲役1年に処する。この裁判が確定した日から5年間、その刑の執行を猶予する。その猶予の期間中、被告人を保護観察に付する」
■猶予判決で最も重い保護観察5年、被告人は涙
保護観察付きで執行猶予5年は、猶予判決としては最も重い。実刑ぎりぎりだ。痴漢行為が長期間にわたり、執拗で、なにより、「結婚したいなって思って」というあの部分を重くとらえたのだろう。
裁判官「被害者への一切の接触を禁止します......性犯罪者プログラムの受講を......(この判決が)甘いという人もいるかもしれませんが、あなたに最後の機会を与えました」
鼻水をすする音が聞こえた。被告人が泣いているのだった。前回、検察官の強い調子におびえ、てっきり実刑判決と思っていたのか。あるいは、己のあまりの愚かさを悔いたのか。
<8/3(土) 8:17配信 プレジデントオンラインより一部抜粋>
懲役1年、執行猶予5年という判決は、記事の内容を見る限り、個人的には甘すぎるように思います。
同じ男に70回も痴漢行為に遭い、その具体的な手口を見ると、もはや何度も暴行されていると言っても過言ではない露骨さです。
もし今回警察に捕まっていなかった場合、さらにエスカレートして、強姦や殺人という段階まで進んでいても不思議ではありませんし、そのことは誰しも容易に推測できます。
現行法では最も重い量刑かもしれませんが、諸外国と比べたり、世間の一般的な感覚とは大きなずれが生じているように感じます。
対策
● 防犯カメラとAIの連動
全車両に防犯カメラを設置し、AIと連動させ、不審な動きを見せる者は事前に感知する。
さらに車両内の映像を警察や提携する警備会社が常時監視すればさらに効果的です。
例えば、被害を訴える人が出てきた場合、後でその映像を確認することができれば、容疑者の特定や証拠になる可能性が高くなります。
● 女性専用車両、男性専用車両とに分ける
両者を完全に分けてしまえば良いという案もありますが、今はジェンダーフリーで単に2つに分けて終わりにはならないので難しいでしょう。
● 社員による見回りと監視
鉄道の社員や警備員に車両内を行き来させて、痴漢を見つけたら現行犯逮捕させる。
人件費は掛かりますが、その業務をメインにする社員を雇うぐらいはすべきでしょう。
「痴漢が少ない鉄道」をアピールすることで、特に女性の利用者が増える可能性はありますから、決して無駄な投資にはなりません(痴漢が嫌で特定の鉄道を利用しない女性がいるとも聞きます)。
● 厳罰化による抑止力
痴漢だけではありませんが、多くの犯罪を厳罰化させることにより、犯罪者がその場での犯行を思い留まり、それが抑止力となり、犯罪の減少につながる可能性が高まります。
小さな犯罪で大きな罰を受けることになれば、犯罪者に割りの合わない犯罪(リスクが高い)と思わせることになれば成功です。
また、このようなニュースを広めることにより、痴漢行為の発覚で会社を解雇される(仕事を失う)事例が存在することを知らせるのも抑止力につながるかもしれません。
えん罪の問題
痴漢の話題になると必ず懸念されるのがえん罪の問題です。
痴漢が多いことを逆手にとって、痴漢をでっちあげようとする詐欺手口(女性が相手に近づき、痴漢だと騒ぎ、もう一人が目撃したとでっちあげる)も実際にありますので、対策を講じる場合、えん罪を生まないことも考慮しなければなりません。