2025.06.24
【防犯センサー完全ガイド】仕組み/種類/設置場所/導入効果を解説

防犯カメラだけでは防ぎきれない侵入犯罪が後を絶たない今、「侵入される前に気づく」ことが防犯の成否を分ける重要なポイントです。そこで活躍するのが防犯センサーです。
人の動きや扉・窓の異常、ガラスの破壊などを瞬時に検知し、警報や通報システムと連動して犯罪の兆候を初期段階で捉えることができます。
防犯センサーは、目立たず静かに、しかし確実に敷地や建物の安全を守る、セキュリティの最前線を担う存在です。
本記事では、防犯設備士の視点から「防犯センサーの仕組み」「種類ごとの特徴」「設置場所の考え方」「他の防犯機器との連携」までを、実例を交えながら解説します。
“狙わせない防犯”を構築したい経営者・管理者の方へ。最適なセキュリティ設計の第一歩として、ぜひご一読ください。
1. 防犯センサーとは?侵入を“未然に防ぐ”ための仕組み
防犯センサーは、建物や敷地への不正な侵入の兆候をいち早く検知するための装置です。
防犯カメラのように「記録する」ことが主な目的ではなく、異常を“検知する”ことで即時に対策へつなげる役割を担っています。
不審者が近づいた、窓をこじ開けようとした、ガラスを割った——その瞬間にセンサーが反応し、
音や光による威嚇、録画機器の起動、警備会社や管理者への通報など、防犯の初動対応を即座にスタートさせることができます。
この「初動の速さ」こそが、防犯センサー最大の価値です。
センサーは単体でも効果を発揮しますが、カメラ・音声威嚇・遠隔監視と組み合わせることで、“狙わせない防犯”を構築することができます。
特に竹中エンジニアリング製のセンサーは、検知精度・耐環境性に優れており、全国の防犯専門業者が導入しています。
次章では、目的や場所に応じたさまざまな防犯センサーの種類と特長をご紹介します。
2. 防犯センサーの主要5種類
防犯センサーには様々な種類があり、それぞれ検知する対象や使用環境が異なります。
以下では、特に導入の多い代表的な5種類をご紹介します。防犯設備士として、現場での使い分けも交えて解説します。
1. パッシブセンサー
- 仕組み:人体から発せられる赤外線の温度変化を検知します。
- 用途:屋内の動線監視に最適。天井や壁の高所に設置し、空間全体をカバーできます。
- 特長:動物や温度変化による誤動作を抑えた高精度設計。人の動きを“見張る”役割に強い。
2. 赤外線センサー
- 仕組み:送信機と受信機の間に赤外線ビームを張り、これが遮られた瞬間に検知。
- 用途:屋外のフェンスラインや出入口の警戒に最適。
- 特長:人や車両の接近を早期に把握でき、屋外でも誤動作が少ない。竹中製は長距離対応タイプも充実。
3.マグネット(開閉)センサー
- 仕組み:磁石とセンサーを対にして設置。ドアや窓の開閉で磁力が断たれると作動。
- 用途:住宅やオフィスの出入口、窓、シャッターなど。
- 特長:シンプルだが確実な検知。人の目が届かない場所でも開閉動作を正確に監視可能。
4. フェンスセンサー(侵入検知型)
- 仕組み:フェンスに取り付けたセンサーが、揺れ・傾き・押し上げなどの異常動作を検知します。
- 用途:工場・物流倉庫・資材置場などの外周警備。高い塀や金網、ゲートにも対応。
- 特長:侵入者がフェンスに触れた段階で即座に感知できるため、“敷地に入る前”の抑止と検知に最も適しています。赤外線ビームとの併用でさらに効果を高めることが可能です。
5. ガラス破壊センサー
- 仕組み:ガラスへの衝撃(振動型)や割れる音(音響型)を検知します。
- 用途:ショーウィンドウ、出窓、事務所・商店の大きなガラス面など。
- 特長:空き巣の“最初の一撃”を逃さず検知。視覚に頼らないため夜間・無人時にも有効。
このように、防犯センサーはそれぞれ特性が異なるため、建物の構造や立地条件、用途に応じて最適な種類を選定・組み合わせることが効果的です。
次は、防犯カメラと防犯センサーを組み合わせることで得られる相乗効果について解説します。
3. 防犯カメラとの相乗効果:センサー導入で可能になること
防犯カメラと防犯センサーは、単独でも一定の防犯効果を持ちますが、組み合わせることで“狙わせない防犯”をより強固にすることができます。
以下は、防犯カメラとセンサーを連動させた際の具体的な効果です。
センサーが“異常の兆候”を即時に検知
- センサーは侵入の段階で反応します(例:フェンスへの接触、窓の開閉、敷地内への人の侵入など)。
カメラが“映像で裏付け
- センサー検知と防犯カメラにフラグをたてる事ができるので、防犯カメラを見返す作業を早めることができます。
- 「何が起きたのか?」を可視化し、証拠能力を大幅に向上させます。
威嚇機器との連携で“その場で追い払う”
- 検知と同時に音声やフラッシュライト、セキュリティキーパーが作動。
- 犯人心理に「ここはリスクが高い」と印象づけることで、犯行を断念させる抑止効果が高まります。
通報システムとの統合で“即時の初動対応”
- 検知から数秒以内に、管理者への通報が可能。
- 人的警備に頼らず、無人でも即時対応可能なセキュリティ体制が整います。
このように、センサー×カメラ×威嚇×通報という多層構造のセキュリティこそが、
現代の侵入犯罪に対して最も有効な“未然防止型”の対策です。
次のセクションでは、具体的にどのような場所にどのセンサーを配置すればよいかを解説します。
4. 建物・場所別の設置活用法
防犯センサーの効果を最大限に引き出すためには、「どこに・どの種類を・どのように設置するか」が非常に重要です。
以下に、建物や場所ごとのおすすめセンサー構成をまとめました。
設置場所 | 推奨センサー | 防犯ポイント |
---|---|---|
玄関・出入口 | マグネットセンサー パッシブセンサー | 出入口の開閉を検知し、侵入初動に対応。ドアを開けた瞬間、または人の動きで即反応。 |
窓・扉 | マグネットセンサー ガラス破壊センサー | 空き巣が狙いやすいポイント。こじ開けやガラス割りも検知。 |
フェンス・外周 | 赤外線センサー フェンスセンサー | 敷地に入らせない“第一防衛線”。触れた時点・越えた時点で反応。 |
駐車場・搬入口 | 赤外線センサー 屋外用パッシブセンサー | 夜間・無人時の人や車両の侵入を検知。監視カメラと併用推奨。 |
屋内死角・バックヤード | パッシブセンサー | 昼夜問わず動きを検知。レジ裏や倉庫など人の目が届かない場所の監視に有効。 |
☑ センサー設置の基本原則
- 動線を読む:侵入者が通るであろう経路を事前に予測し、そのルートに検知ラインを設定する。
- 死角を作らない:カメラと違いセンサーは「物陰」も感知できるが、設置範囲に空白ができないよう注意。
- 重ねて守る:1か所で異常を見逃しても、他のセンサーで補完する“多層防御”が効果的。
施設の形状や敷地の広さ、業種によっても最適なセンサー構成は異なります。
そのため、設置前には専門家による現地調査・プランニングが不可欠です。
次は、“狙わせない防犯”を実現するための防犯設計の考え方についてご紹介します。
5. “狙わせない防犯”を完成させるための考え方
防犯対策には「被害を記録する」ことよりも、「被害そのものを発生させない」ことが最も重要です。
そのために必要なのが、**侵入される前に犯人の意欲をくじく“狙わせない防犯”**という考え方です。
これは単にカメラやセンサーを設置するのではなく、**心理と行動の両方から犯罪を断念させる“設計思想”**です。

1. 見せる(抑止)|防犯のすべてはここから始まる
「ここは入れない場所だ」と思わせることが、防犯の最初にして最も重要なポイントです。
実際、多くの侵入犯は下見の段階で“警戒すべき場所”を避ける傾向にあります。
この「見せる抑止」を実現するためには以下のような工夫が有効です:
- 威嚇力の高い機器(例:セキュリティキーパー)を見える位置に配置
- センサーやカメラの存在を明示的に伝える表示(警告看板・LEDなど)
- 周囲からの見通しを良くする環境設計(防犯灯、フェンスの透過性など)
「見せる=狙わせない」。これはすべての防犯対策の基礎であり、最も費用対効果の高い施策です。
2. 気づく(検知)|異常の兆候を逃さない
“見せる”ことで抑止しても、侵入を試みる者がゼロになるわけではありません。
そのために必要なのが、侵入の兆候を即座に察知する防犯センサーの役割です。
- 赤外線センサーで人の接近を検知
- フェンスセンサーで触れた瞬間に反応
- ガラス破壊や窓の開閉を即座に検知
正確な“気づき”がなければ、初動も証拠記録も後手に回ってしまいます。
3. 対応する(即時反応)|被害を未然に止める
検知した異常に対して、自動的にかつ即座に対応できるかどうかが、被害の有無を左右します。
- 警報音やフラッシュライトによる威嚇
- 音声による呼びかけ(「防犯システムが作動しました」など)
- カメラ録画の開始と遠隔通報システムとの連動
人がいない時間帯・場所でも、自動で反応できる体制を整えておくことで、「対応の遅れ」が発生しません。
この3つの要素の中でも特に重要なのが、「見せる(抑止)」=最初に犯罪者の意欲をくじくことです。
抑止が効いていれば、センサーが反応する前にそもそも侵入を断念させることができるからです。
そのうえで、「気づく(検知)」と「対応する(即時反応)」を適切に組み合わせ、建物や敷地の特性に合わせて防犯センサーを最適に配置・連携させることが、
“狙わせない防犯”を実現する最も効果的な方法です。
まとめ|防犯センサーは“狙わせない防犯”の中核を担う存在
防犯センサーは、侵入を検知するだけの機器ではありません。
「見せる(抑止)」「気づく(検知)」「対応する(即時反応)」の3つの要素を連携させることで、犯罪そのものを未然に防ぐセキュリティシステムの中核となります。
特に「見せる(抑止)」は、侵入犯の意欲を最初に断ち切る重要なポイント。
そのうえで、正確なセンサーによる検知と、即時対応できる仕組みを備えることで、
**“カメラで記録する防犯”ではなく、“起こさせない防犯”**が完成します。
現代の防犯対策は、「後から見る」から「未然に止める」へと進化しています。
防犯センサーを正しく理解し、建物や施設に最適なかたちで活用することが、
企業や施設、そして大切な人を守るための第一歩です。

関連記事|現場の課題に応じたセンサー活用事例はこちら