2025.07.31
防犯対策 法人編|企業が構築すべきセキュリティ体制とは

企業を狙った侵入・窃盗・情報漏洩といった犯罪は年々高度化・組織化しており、単なる「監視カメラの設置」や「警備員の巡回」だけでは守りきれなくなっています。特に法人規模の施設では、防犯は**“現場の判断”ではなく“経営課題”**として捉える必要があります。
この記事では、防犯対策を法人がどのように構築すべきかを「経営と現場の両面」から整理し、企業規模や業種に応じた実践的な対策の方向性を総合防犯設備士の視点から解説します。
守るべき対象は「会社によって異なる」
まず防犯対策において重要なのは、「何を守るか」を明確にすることです。法人が抱える資産は多岐にわたります。
- 人命(従業員・来訪者)
- 財産(現金・機材・商品・データ)
- 信用(顧客情報・社内情報)
- 業務継続性(BCP)
これらを守る優先順位とリスクの大きさに応じて、セキュリティ体制は設計されるべきです。
防犯は「経営リスク管理」の一環である
法人において、防犯は単なる“コスト”ではありません。
それは 「経営資源を守る投資」であり、リスク管理(リスクマネジメント)の一角です。
- 被害に遭えば、金銭的損失だけでなく取引停止や信用低下など甚大な二次被害に発展する
- 雇用の安全を守れなければ、人材流出や訴訟リスクすら生じる
つまり、防犯体制を整備することは「攻めの経営」の土台を築くことでもあるのです。
法人が備えるべき3層のセキュリティ体制
効果的な法人防犯は、「単独機器」ではなく**複数の機能を組み合わせた“重層防犯”**が基本です。以下の3つを軸に構成します。
1. 抑止(狙わせない)
- 防犯カメラの見える化、セキュリティステッカー、警備会社の表示など
- セキュリティキーパーなど「威嚇機器」の活用
2. 検知(気づく)
- 赤外線・マイクロ波・音響などのセンサーで侵入を即時検知
- ゾーン設計による死角排除
3. 対処(知らせる・止める)
- 通報システム・フラッシュ・音声警告による即応
- 管理者への自動通知、警備連携
この3層が適切に構成されてはじめて、“狙わせず・入らせず・被害を出さない”体制となります。
社内運用+設備=防犯は“両輪”
機器だけに頼った対策は不完全です。
法人では、組織内ルールと教育の整備が不可欠です。
- 施錠ルール、異常発見時の通報フロー
- 出入り管理、夜間点検、記録管理の明文化
- 従業員の定期研修やマニュアル作成
「誰が何をするか」が明確であってこそ、防犯機器の性能が最大限に発揮されます。
セキュリティ体制構築のステップ
- 現状分析
- 被害履歴・死角・管理体制を可視化
- リスク評価
- 優先度と被害影響度を数値化
- 対策計画
- 必要機器・体制・予算の検討
- 段階的導入
- フェーズに分けて実行
- 運用・見直し
- 月次点検・定期教育・評価のサイクル化
まとめ|防犯体制は「企業の信頼」を守る
法人の防犯対策は、単に“事件を防ぐ”ためだけのものではありません。
それは、従業員・顧客・取引先に対する企業の責任であり、
信頼のインフラとも言える存在です。
今こそ、防犯を“現場任せ”から“経営戦略の一部”へと格上げし、
御社にとって最適なセキュリティ体制を構築していきましょう。
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